メディカル・サポート・コーチング入門―医療者向けコミュニケーション法

医学生には是非とも在学中に読んで欲しい本です。

もとはJAMICジャーナルという医療系雑誌連載されていたもの。
その連載を初めて読んだ時に「コーチング」の存在を知って衝撃を受け、それ以降、毎回欠かさず読んでいました。
それがまとまって本になるというのを知り、待ちに待った一冊でした。

内容はほぼ同じです。
しかし、実は雑誌連載の方がやや具体例が多いです。
というわけで、その分ちょっと不満はありますが、中身は充分ためになるものですし、特に「患者さんとのコミュニケーションのとり方」を暗中模索している医療従事者に読んで欲しい一冊です。

病棟実習が始って、
「あの患者、何回言っても薬飲まないんだよね」
「あの人、こっちの言いつけ全然守らないからイヤだ」
「言うこと聞かないなら、病院なんて来なきゃ良いのに」
なんて愚痴をしばしば耳にします。
悪いのは患者、そんな患者を相手にしていられない。
そう言ってしまうのは簡単ですが、ちょっとだけ怒りを堪えてこの本に手を伸ばしてみてください。
この本は患者さんにこちらの話を聞かせる技術の教科書、ではありません。
患者さんが自ら病気が治る方向へ進むように、患者さんの話を聞いてあげながら患者さんの考えを軌道修正して、結果的にはこちらの思惑（病気が治る）へと仕向けるための本、という感じです。
患者さんの病気が治れば、医療従事者としてこれ以上の幸せはないのではないでしょうか。

だまされたと思って買っても、損はしないと思います。